「小説をうまく書きたい」
「けど、思うように書けない」
実は私もそうでした。
小説を書き始めた頃の作品は稚拙でした。
内容や情景描写、言葉の使い方が滅茶苦茶
初めから満足のいく作品は書けません。
だんだん書き方がわかってきます。
私はプロの作家でもなんでもありません。
ただ書くことが好きだから書いているのです。
そんな私のこれまでの経験から学んだ、
小説の書き方のポイントをお伝えします。
小説を書く上での8つのポイント
1 どのような読者層をターゲットにするか
誰に読んでもらいたいかを、最初にはっきりさせる。
男性なのか女性なのか。
若者なのかお年寄りなのか。
読者のターゲットを決めます。
2 物語の構成を考える
どんな構成にするか、ざっくりと章立てをする。
これは児童書「あっちゃん」の章立てのメモです。
第1章から第10章まである小説です。
10の章から成り立っています。
それぞれの章の具体的な内容は( )内です。
3 イメージ画を描く
全体のイメージ画を描いてみます。
これは「あっちゃん」という児童書の舞台に
なる場所のイメージ画です。
「地名」、「学校名」、「駅名」、「川」、
「河川敷」、「公園」、「住宅」、「田畑」
など、かなり具体的に描かれています。
このくらい具体的に描いておくと、それぞれ
の章(場面)がどこで、どんな風に展開して
いくのか具体的なイメージができ、文字に起
こすことができるのです。
4 自叙伝から創作へ
白紙の状態から小説を考えるのはなかなか難
しいものです。
最初は自分の経験や体験を小説にしてみるの
がいいでしょう。
自分が経験(体験)したことをもとに肉付け
していけば、比較的文章にしやすいと思いま
す。
私の最初の作品、「旅」という小説も、実際
に大学3年のとき体験したことがベースにな
っています。
徐々に書くことに慣れてきたら、創作小説に
チャレンジするといいと思います。
その際、小説の材料を集めることが必要にな
ってきます。
例えば、実際に小説の舞台になる場所に赴い
て、その場所がどうなっているか確認してみ
るとか、その場所の夏の情景はどんな風にな
っているとか、想像するのではなく、確かな
事実や状況を確認することが必要です。
5 不幸から立ち直っていくまでの成長過程を物語にする
物語の主人公が最初は不幸な境遇にあり、自分
を取り巻く人たちの働きかけや自分自身の努力
によって徐々に不幸な境遇から良い方向へと移
り変わっていく、という人間の成長過程を描い
た物語にすると比較的書きやすいと思います。
人生は順調に物事が運ぶことはほとんどありま
せん。
山あり谷ありで人間は成長していくものです。
その過程を小説にすると、読者の心を揺さぶる
おもしろいものが書けると思います。
6 場面がイメージできるように情景描写を工夫する
もう迫ってくるランナーは誰もいない。
残りは百メートル。
もう一人、一般の部のランナーを抜いた。
小躍りしたくなるような気分だった。
五十メートル先にゴールが見えた。
前には誰もランナーはいない。
もう仲間の誰にも襷を渡す必要はない。
ゴールテープがぴんと張られている。
僕のゴールを歓迎するかのように、拍手と
声援が絶頂に達した。
カメラを構えている人が大勢いる。
この瞬間を逃すなよ。
「剛、カッコよくゴールしろよ!」哲也が
耳元でささやいた。
見てろよ、哲也。
一番カッコいいいポーズでゴールテープを
切るからな!
僕は右手を突き上げ、人差し指を空に向け
て笑顔でゴールに飛び込んだ。
これは「RUNNER」という小説の最後のク
ライマックスの場面です。
駅伝の最終ランナーが1位でゴールするシ
ーンです。
読者が実際にその場面にいるように、1つ
1つの言葉を大切にしながら書くといいと
思います。
7 「言った」、「笑った」、「考えた」などの言葉を別の表現に変える
極力このような抽象的な言葉を使わないよ
うにしています。
例えば、「笑う」という言葉について言え
ば、ほほえむのような軽い笑いから、ゲラ
ゲラ大声で笑うまで、笑い方には様々あり
ます。
例えば、「口元を緩めた」、「軽く微笑ん
だ」、「にやけた」、「笑みを浮かべた」、
「ゲラゲラと声を張り上げた」……という
ように様々な表現を使い分けるといいと思
います。
8 登場人物は5~6人にとどめる
小説に10人も20人も人物が登場すると、
読者は読んでいくうちに人物の名前がわか
らなくなってしまって、前の方に立ち返っ
てその人物が誰なのか、探さなければなら
なくなってしまいます。
具体的な名前のある人物を登場させるのは、
せいぜい5~6人程度にした方がいいと思
います。
どうしても物語に登場させたいときは、
「隣に住んでいる男」とか「寿司屋の大将」
とかいうように、具体的な名前を付けない
方がいいと思います。
小説が完成したら
1 魅力的なタイトルにする
タイトルを見て、読んでみたくなる本って
ありますよね。
ですから、タイトルには気を遣ってほしいと
思います。
例えば、森沢明夫氏の「虹の岬の喫茶店」、
池井戸潤氏の「俺たちバブル入行組」。
とても魅力的なタイトルですよね。
恥ずかしながら私の小説、「僕はあの日、
北海道の空と海を見ていた」、「RUNNER
―おっさんたちの駅伝―」、「そこにはい
つも父がいた」なんて、シャレたタイトルを
付けてみました。
前から順に「ツーリング」、「駅伝」、「父」
というタイトルだったら、味気ないですよね。
2 校正は原稿をプリントアウトして確認する
パソコンを使って小説を書いていて、完成した
らパソコン上で間違いがないか確認する。
これはやめた方がいいと思います。
パソコン上で見ていても間違いを発見すること
はできません。
やはり、プリントアウトして活字を読み直して
確認した方が間違いを発見しやすいです。
小説が完成してから校正するのが大変なら、章
ごとにプリントアウトして読み直してみるとい
いでしょう。
3 出版社の作品募集に応募してみる
小説が完成したら、出版社が募集している作品
募集に応募してみるのもいいかなと思います。
自分の小説のレベルがどのくらいなのか、知る
機会にもなります。
私もダメもとで応募してみたら、編集者の目に
留まり、「この小説を本にして出版してみない
か」と誘われ、出版してみることにしました。
また、実際にエッセイが本に掲載されたことも
あります。
「俺には無理だ」とあきらめないで、ぜひ応募
してみてはいかがでしょうか。
4 編集者のコメントをもらう
ある出版社で編集者に無料で企画書を読んでも
らい、コメントをもらうという企画がありまし
た。
自費出版を前提にした企画でしたが、無料とい
うことで企画書(小説の原稿)をメールで送っ
てみました。
すると、「あなたの小説はおもしろいので出版
を検討してみてください」というひと言と、そ
の小説についてのコメントが郵送されてきまし
た。
出版費用が半端なかったので出版は辞退しまし
たが、編集者のコメントは小説を書く上でとて
も参考になりました。
そんな企画もあるので、気楽な気持ちで送って
みるのもいいかと思います。
おわりに
物語をイメージしながら小説を書くのはとても
楽しいものです。
自分がその小説の世界に入り込んで、自由にキ
ャラクターを操ることができるからです。
私はすでにエッセイ5冊、児童書5冊、小説5
冊を本にして出版しています。
現在は6冊目(初めての創作)になる小説を手
掛けています。
大手出版社に依頼すると、編集者による校正や
表紙の代金等を含めて、本を1冊出版する場合
100万円くらいかかります。
そんなお金はありませんので、費用が安いネッ
ト販売という手段を取っています。
それでも自分の小説が1冊の本となって手元に
戻ってくると嬉しいものです。
これまで述べてきたことが、皆さんが小説を書
く上で少しでも参考になれば、とてもありがた
く幸せに思います。
参考までに私のプロフィールと出版した書籍が
掲載されているホームページを、下記に紹介し
ておきます。
ぜひ、クリックしてみてください。
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